遺産にかかる相続税基礎控除とは

相続12

相続税は、相続や遺贈によって、財産を取得した場合にかかる税金です。我が家にはそんなに財産とよべるものはないから関係ないと思っている人も多いかもしれませんが、知っておいて損はない基礎知識として参考にしてみてください。

相続税の納税義務者は、原則として相続や遺贈によって財産を取得した個人になりますが、その法定相続人の人数によって課税遺産総額を計算するときに差し引く基礎控除額が変わってきます。

相続税の計算の流れ

まずは、相続税の計算はどのようになっているのかを理解しましょう。例えば、夫、妻、子A、子Bの家族構成で、夫が亡くなり(被相続人)、妻、子A、子Bの3人が相続人となる場合ではどのように相続税を計算するのかで考えてみましょう。

相続税を計算する流れは、まずは各相続人の課税価格を計算し、いったん合計して、課税価格合計額から遺産にかかる基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出します。そして課税遺産総額を各相続人の法定相続分で按分して税率を掛けて相続税の総額を計算します。

相続税の計算上の法定相続人の数は民法とは異なる扱いをしています。民法上は養子を何人でも増やすことができますが、相続税の場合は法定相続人に算入できる養子の数に制限があります。また相続放棄があった場合には放棄がなかったものとして法定相続人の数に算入します。

各人の課税価格を計算

まずは、各相続人、今回のケースでは妻、子A、子Bが被相続人から相続した財産から非課税の財産や、控除できる金額を差し引いて、相続税がかかる相続財産の課税価格を計算します。相続財産として加算するものは、本来の相続財産、みなし相続財産、相続時精算課税制度による贈与財産、生前贈与加算などがあります。

また相続財産から差し引くものは、非課税財産、債務、葬式費用などがあります。妻の相続財産を土地8,000万円、建物5,000万円、現金3,000万円、葬式費用200万円を負担。子Aの相続財産を建物4,000万円、現金2,000万円、借入金1,000万円。

子Bの相続財産を建物3,000万円、現金1,500万円、借入金500万円とした場合、課税価格は妻15,800万円、子A5,000万円、子B4,000万円となります。

相続財産として加算するもの

本来の相続財産とは、被相続人が生前に所有していた預貯金、株式、土地などで、金銭で換算できる経済的価値のある財産をいいます。みなし相続財産とは、被相続人の死亡を原因として、相続人が受け取った財産で生命保険金や死亡退職金などがあります。

相続時精算課税制度による贈与財産とは、生前に被相続人から贈与をしたときの贈与税を軽減し、その代わりに、贈与された財産を相続のときに加算するという制度です。また、相続人が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた場合、その贈与財産は相続財産として加算します。

相続財産から差し引くもの

非課税財産となるものは、墓地、墓石、祭具、仏壇、仏具などがあります。ほかに生命保険金のうちの一定額、死亡退職金のうちの一定額も非課税となります。また、被相続人の債務(借入金、未払いの医療費、未払いの税金など)を承継した場合や、葬式費用(通夜、告別式、火葬、納骨費用など)を負担した場合も課税価格から控除することができます。

遺産にかかる基礎控除額を計算する

課税遺産総額を計算する方法は、各人の課税価格の合計額から、遺産にかかる基礎控除額を差し引いて計算します。遺産にかかる基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。今回のケースでは、法定相続人は、妻、子A、子Bの3人となりますので3,000万円+600万円×3人=4,800万円が遺産にかかる基礎控除額となります。

相続税の基礎控除の計算では被相続人に実子がいる場合は養子は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人の数に算入できます。相続税の基礎控除額を増やすために養子を無制限に増やすということはできないように、法定相続人の数について民法とは異なる扱いをしています。

また、特別養子縁組で養子になった人、配偶者の実子で、被相続人の養子となった人、代襲相続人で、被相続人の養子となった人は、養子でも実子とみなされます。

相続税の総額を計算する

相続税の総額を計算するには、課税遺産総額を各相続人の法定相続分で按分して税率を掛けて税額を計算して合算します。今回のケースでは、各人の課税価格の合計額24,800万円から遺産にかかる基礎控除額4800万円を差し引いた20,000万円が課税遺産総額となります。

各相続人の法定相続分、妻2分の1、子A4分の1、子B4分の1で按分すると、妻10,000万円、子A5,000万円、子B5,000万円となります。この金額に税率を掛けて税額を計算し、合計額が相続税の総額となります。

相続税の税額は速算表を用いて計算します。税額は法定相続分に応じた取得金額×税率ー控除額で計算します。妻は10,000万円×30%ー700万円=2,300万円、子Aは5,000万円×20%-200万円=800万円、子Bは5,000万円×20%-200万円=800万円となり、相続税の総額は3,900万円となります。

各人の納付税額を計算する

相続税の総額を各相続人の法定相続分で按分して計算しましたが、各人の納付税額は各人が実際に受け取った課税価格の割合を掛けて(実際の按分割合)算出します。実際の按分割合で算出した税額に、相続税額の加算、税額控除した額が各人の納税額となります。

今回のケースでは、各人の課税総額は合計24,800万円で、妻は15,800万円、子Aは5,000万円、子Bは4,000万円なので、各人の按分割合は妻0.64、子A0.20、子B0.16となります(小数第3位を四捨五入)。

各人の算出税額は相続税の総額3,900万円に按分割合を掛けて、妻2,496万円、子A780万円、子B624万円が算出税額となります。

相続税額の加算、税額控除

被相続人の配偶者および1親等の血族以外の人が相続または遺贈により財産を取得した場合には算出税額の2割が加算されます。また、相続税の税額控除には、贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除があります。

相続時精算課税制度を適用し、贈与税を支払っている場合には、その贈与税額を相続税額から差し引きます。なお、すでに支払った贈与税額が相続税額を超過する場合には、その超過額が還付されます。

相続時精算課税制度のメリットとデメリット

相続税の申告のポイント

相続や遺贈によって財産を取得した人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の死亡時における住所地の所轄税務署長に申告書を提出する義務があります。ただし、相続税が基礎控除以下の場合は申告は不要です。